自宅で利用者を介護する家庭が増えています。その中には、長年住み慣れた自宅で暮らしたい、暮らさせたいという本人、家族の意向で、介護サービスを利用しながら在宅生活をしている方ばかりではありません。
施設に入所させたくても施設の空きがない、また、たとえあったとしても、経済的等の様々な事情により施設入所することができず、在宅生活を継続させている方も多くいます。
介護する側も高齢であったり、病弱であったり、また小さな子どもを抱えながら親の面倒も同時に見ている若い介護者だったりまた介護者の状況もそれぞれに違います。
ただ共通して言えることは、介護は24時間365日休みはなく続いているということです。最近、自宅で介護をしている介護者が引き起こす不幸なニュースをよく耳にします。
今回は、介護の現場の中で実際に聞いた介護者の声をお伝えできればと思います。
夫が亡くなった後に・・・
一軒家に住む80歳代の高齢者夫婦。長年寝たきりの夫を介護している妻も、介護保険サービスで、おむつ交換や食事介助の援助が入るまでは、持病を抱えながらも、ひとりで夫の世話をしてきました。
今まで妻は、買い物や必要な用事以外は自宅の外に出る機会もなく、介護の大変さ等全てひとりで抱え込んでいましたが、ヘルパーが入ったことで、気持ちにゆとりが生まれてきたのか、昔話をよくされたそうです。
夫は長男で、子どもの頃から母親に甘やかされて育ってきたこと、その結果、仕事に就いてもすぐに辞めてしまうため、妻が働きながら家庭を支えてきたとのこと。
介護保険サービスで、おむつ交換や食事介助がスタートする
そして60歳代に入って間もなく、夫は病気で入院し、本人の意思?で退院後そのまま寝たきり状態になり、妻の10年に渡る介護がスタートしたのです。
妻は常々「夫がなくなった時には、私大声で万歳するわよ!」と話していましたが、ある年の初めに、夫は吐血し救急車で運ばれ、そのまま息を引き取りました。
まとめ
その後、自宅を訪問をしましたが、亡くなった夫の穏やかそうな表情とともに、妻の介護をやりきったという満足気な表情が印象的でした。そして、帰り際に妻は約束通り「万歳!」と両手を上に挙げて笑顔を見せてくれました。
こんな看取りもあるのだということを実感しました。