これまで福祉の仕事の中で、たくさんの高齢者、障害者の支援を続けてきた私。気がつけば、いつの間にか自分の親の介護を考える時期になっていました。
親はいつまでも元気でいてくれる
私が介護職として仕事に就いた頃には、両親ともにまだまだ現役で、夫婦で元気に生活をしていました。
その頃の私はと言えば、子育て真っ最中の上に、介護保険制度開始への移行に伴う業務等で多忙な日々。
正直なところ、元気な両親のことまで考えるゆとりはありませんでした。と言うよりは、親はいつまでも元気でいるものだと思っていたのかもしれません。
この仕事をしていながら、何故気づけなかったのか・・
今から20年位前の父の話です。
父は、定年後も70歳になるまで働き続けるほど、心身ともに健康な人でした。70歳を迎え、自分の意思で退職をした父は、仕事一途の人間だったため、しばらくの間は気持ちが落ち込む様子が伺えました。
しかしその後、仕事で多忙な私に代わり、子ども達の世話をしてくれていた母と一緒に、父が自分のできる役割を見つけたことで、少しずつ元気を取り戻していったのです。
元気を取り戻したのもつかの間
ちょうどその頃、母から「最近、父の歩き方がなんとなく気になる。前のめりに歩き、よく足が突っかかる。」と聞いていましたが、年をとってきたせいではないかと、確認もせずにいました。
父が自宅で倒れ、救急搬送されたのは、それからしばらくしてからのことでした。 病名は脳梗塞でした。
その後、病院での治療やリハビリ、また本人の努力の成果もあり、左半身に軽度の痺れが残る程度にまでに状態は回復しましたが、その時の私の罪悪感は相当なものでした。
まとめ
仕事では、利用者の状態をよく観察し、小さな変化に気づくことができれば、異常の早期発見ができると思っていましたし、また介護する家族の方にもそのように伝えてきました。
しかし、そう言い続けてきた自分自身が、母親が気づいた小さな変化を見逃してしまったのです。
専門職としての立場で、利用者、家族の支援してきた自分が、自分の身内の介護をする時期に入り、改めて気づかされたことが、この先も多々ありました。それは、また次にお伝えしたいと思います。