介護士のリアル

介護士を応援したくて始めたブログで、介護の現場に関するリアルな情報提供をコンセプトにしています。メインライターは介護福祉士の資格を持つ介護業界20年以上のキャリアを持つ向日葵さん。仕事で悩んだ時の介護士さんのサプリになるよう体験談も掲載しています。

公務員ヘルパーとなった私が最初に担当した80代の高齢者夫婦

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念願の公務員ヘルパーとなった私は、すぐにヘルパーとして在宅での訪問援助を始めました。

主婦として家庭の中のことは、日常的に行っていたものの、他人の家に入り、介護や家事支援をすることなどなかった私にとっては、何もかもが初めての経験でした。研修で学んだ通りに、すぐにうまくいくはずがありませんでした。

しかし、様々な失敗を繰り返しながら、経験を積んできた時代を少し振り返りたいと思います。

80代の高齢者夫婦の援助

最初に担当した利用者の中に、アパート1階に居住する80代の高齢者夫婦がいました。妻は、ほぼ寝たきり状態で、高齢の夫とヘルパーの支援がないと生活が成り立たない状況の方でした。

当時は、介護保険制度がスタートする前でしたので、今のようにケアマネージャーが利用者の細かいアセスメントをし、自立支援を意識した作成されたケアプランがあったわけではなく、必要と考える援助内容を継続していました。

緊張とプレッシャーの中で頭は真っ白

80代の高齢者夫婦の家庭では、毎回寝たきりの妻の身体を拭き、着替えの介助をした後に洗濯と食事作りを行う、という内容が長期に渡り行われていました。

本来であれば、援助そのものは決して大変なものではなかったのですが、緊張と限られた時間の中で行うというプレッシャーがあったのかもしれません。

身体を拭いたタオルや使用した用具の片づけをしながら、着替えた衣服の洗濯しながら、食事の支度ながらと、二つ以上の事を同時進行で行おうとするけれど、頭の中は真っ白状態でした。

「こんなにバタバタしていたら、心配で寝てもいられないよ」

妻が寝ているのだから、静かに援助しなければと思えば思うほど、洗濯物を入れたかごをひっくり返したり、お鍋のふたは落としたり、もう散々な状態。その時です…すっかり動揺している私のうしろで

「こんなにバタバタしていたら、心配で寝てもいられないよ」

と、声が聞こえました。うしろを振り返ると、部屋で寝たきりのはずの妻が台所まで一生懸命、壁や家具につかまりながら歩いてきていたのです。

ほぼ、寝たきりだったはずの妻が介助なしで歩いてくるとは、とても驚いたことを今でも覚えています。

良い支援をしたね?なんで?!

職場に戻った私は、自分のしてきた援助の情けなさに落ちこみ、その旨を上司に報告をしました。しかし、上司は…

「長年関わってきた自分達が、この利用者はもう介助なしには歩けないと思いこんでいたのよ。この利用者にとって良い支援をしたね。」

と一言。自信を無くしかけていた私は、この上司の一言に救われました。

ちなみに、それ以降この利用者は、毎回訪問時にはベットから離床し、台所の椅子に座り、一緒に食事の味見などをするようにまで変化したのです。

まとめ

転職をして、介護の仕事を始めたばかりだったので、まだまだ自分の援助に自信が持てなかった時の出来事ですが、このような経験は誰にでもあるのではないでしょうか?同じような思いをした方も結構いると思います。

私は上司の一言に救われて、その後も介護の世界で働き続けましたが、働き続けることができて良かったと、今でも思います。