平成12年4月からの介護保険制度の実施に伴い、介護サービスも大きく変化しました。
新米ヘルパーからスタートし、数々の失敗を繰り返してきた私も、介護の経験を積んでいく中で、介護福祉士・介護支援専門員の資格を取得し、介護保険制度を迎えました。
前年度には、利用者への直接援助と並行して、介護保険には欠かすことのできない、介護度を決めるための認定調査業務も担当しましたが、介護保険スタート以降は、新たなケアマネージャー業務への挑戦です。
介護保険スタート
介護保険スタートにあたり、在宅系サービス、施設系サービスともにその種類や数が大幅に増えました。
利用者自身が、自分でサービスや事業所を選べる時代になったこと、また介護職も、在宅、施設ともにサービスの種類や数が増えたことで、職場を選ぶ選択肢が広がったように感じました。
しかし、実際にはそんなに甘い話ばかりではなかったのです。
介護保険スタート当初の混乱
介護保険はスタートしたものの、当時まだケアマネージャーという資格自体もできたばかり。誰もがみな研修は受けたものの、ケアマネ業務未経験の中で、見切り発車をしているような状態が続きました。
認定を受け、担当した利用者を、すぐに必要なサービスに繋げたくても、実際にその利用者の住んでいる地域には、まだそのサービスがないか、あっても数少ないため長期間待機状態ということも多々ありました。
保険の営業と間違われる
また、介護保険以前(措置の時代)からサービスを利用している方々にとっては、以前と比較してサービスの回数が減ったり、援助内容の変更等への不満もあり、その都度介護保険制度の説明に追われる日々。
実際、介護保険は「契約」に基づいて行うサービスであるため、自宅に訪問して介護保険の説明を始めた途端「うちでは他の保険には入っているから、新しい保険は必要ない」と言われ、苦笑いしたことも。
私は、保険の営業と間違えられていたのでしょうか。
このような混乱は、利用者やケアマネージャーだけに限らず、サービスを提供する事業所側でも起こっていました。
せっかくサービスの申し込みがあっても、また支援体制が整っていない、受け入れるだけの介護職の人材確保ができない等の理由から、せっかくの依頼を断らなくてはならないこともあったと聞いています。
まとめ
施設、在宅を問わず介護保険制度では、利用者がそれぞれの能力に応じて、可能な限り自立した生活を送ることができるようにする支援する「自立支援」が掲げられました。
しかし、当時の実際の介護の現場で、それが浸透するまでには、かなりの時間を要すると感じたのは、私だけでしょうか。