介護の現場では、腰痛に悩まされ、痛みを抱えながら仕事を続けている人が非常に多いと思います。私自身も、介護の現場で仕事をしている時には、日常的に腰痛に悩まされ、コルセットを着用しながら仕事をしていました。
しかし利用者を介護する上で、いつも不安を抱えながら介護をすることが、時には思わぬ介護事故につながる場合もあります。
この話は、実際に私が起こしてしまった利用者対応時の失敗談です。
165cm以上ある女性利用者のトイレ介助援助
それは精神疾患のある、女性利用者のトイレ介助の援助中に起きた出来事です。
室内での歩行や移乗、移動時に介助が必要で、介護をしながら自宅で仕事をしている夫が、不在になる時間帯にトイレ介助のため、毎日ヘルパーが入っていました。
その利用者の介助は、本来であれば介護者が、前から手引きで介助する方法が一番安全であると考えられていましたが、本人には、介助の方法に強いこだわりがあったのです。
利用者のこだわり
その介助は、本人の身体を後ろから両手で支え、自分の足で、本人の足を片方ずつ足を前に押し出す形で行われていました。
本人の身長は165㎝以上あり、身体の小さいヘルパーには、前方がよく確認できないこと、またパニックになると本人の身体が突っ張ってしまうために、足が前に進まなくなることもあります。
そのため、この介助方法には転倒の危険が伴うと、何度も本人、関係者を含めて話し合いが行われましたが、精神疾患もあるために、どうしても本人の承諾が得られず、やむを得ずその方法で進められてきました。
「腰痛ベルトしてるから安心」ではない
ある日、援助のために訪問した時のことです。
いつものように私は、後ろから本人を支え、歩行介助を始めましたが、トイレの前で、本人の身体が急に反りかえったため、それを抑えようと、自分の身体に力を入れました。
もともと腰痛のある私は、介助時には必ずコルセットをつけていましたが、その時力を入れた途端に、ビシッ!という感覚の激しい痛みが襲ったのです。
何とか本人をトイレに座らせ、すぐに職場に連絡し、交代のヘルパーをお願いしたところまでは覚えていますが、職場に戻ってから病院受診に至るまでの経緯は、激痛のためあまり記憶に残っていません。
その後、病院受診により、肋骨骨折との診断を受け、自宅療養を余儀なくされました。
まとめ
腰痛ベルトをしているから安心と思っていた私でしたが、今回の場合には、予防のためきつくしめていた腰痛ベルトのその上の部分に怪我を負いました。
介護職には腰痛だけではでなく、身体に疲労がたまっている場合、また介助方法が不適切な場合など、様々な原因により介護事故につながる危険性があると思います。
何よりも、この事故の際、利用者が何事もなく無事であったことが私の救いでした。