働きながら介護をしている人、介護離職をした人、子育てと親の介護の時期が重なってしまっている人、また、遠距離介護を余儀なくされている人。仕事を通して、様々な状況の介護者の方々との出会いがありました。
それぞれの立場で、介護をしている方々の気持ちに寄り添い、支援していくことを心がけていたはずの私でしたが、自分が介護者の立場になって初めて気づくことも多くありました。
サービス開始までの流れを把握している私でも大変な作業
父が亡くなる半年くらい前までは、遠方で生活をしている私は、まだ仕事を続けていました。
両親の介護のサービス利用が開始されると、高齢者夫婦では、細かいことまでの決断ができないこともあり、別居の主介護者、緊急連絡先としての役割が、私の日常生活の中に追加されました。
長年介護関係の仕事についていることもあり、サービス利用を開始するまでの流れや必要な契約等に関しても、十分理解しているはずでした。しかし実際に、我が事になると、それはもう大変な作業です。
我が家の場合には、両親それぞれにサービスが入るため、それぞれの事業所との契約や担当者会議等かなりの時間を要しました。
私がケアマネージャーをしている時に「こんなに時間もかかるし大変なこと、もう少し何とかならないの?家族のいない人はどうしているの?」など、よく家族の方に聞かれたことを思い出していました。
そうした一連の流れが終わり、いざ介護サービスがスタートしたら安心という訳ではありません。
そばにいられないもどかしさ
日々サービスが入る中で、それぞれの担当者の方が援助の中で、気づいたこと、また疑問に思うこと、変更したいことなどがあると細かく連絡等入れて下さいました。
また援助を受けている両親からも、わからないことやサービスに対する思いなど、電話をもらいました。近くに住んでいれば、仕事帰りに寄ってじっくり両親の話を聞いたり、状況をその目で見ることができるのにと、何度思ったことでしょう。
まとめ
実際に介護を受ける側になり「あの時、あの家族にこんな無理なことを言ったなあ・・・」「もう少し、連絡を早くしてもらえるようお願いしたなあ・・・」と振り返ることが多くありました。
やりたくてもできない事情があること、気持ちがあっても、なかなかまわりには理解してもらえないことに、もどかしさを感じる家族も多いと思います。
私の担当の利用者が、私が他の高齢者の支援をしていて自分の親のことができていないことを伝えた時に、言った言葉です。
「あなたが今、私の事を一生懸命助けてくれているように、誰かがあなたの両親を今、一生懸命支援してくれているはず。世の中そうして回っているから大丈夫よ。」